代車のはなし・・その3

その車は小さかった。そもそも他人の車を運転するのを好まない。慣れていないからというのがその理由だ。癖があるのだ。慣れないものには慣れないのだ。代車のバックミラーのはなしだ。私の眼にはすべてのものが調子よく見えるわけではない。バックミラーが・・それに映っている世界が見えなかったのだ。バックミラーの内側には何も映っていなかった。きっとタイムマシンに乗ったら、あるいは光速以上で飛ぶロケットに乗ったら窓の外、あるいはその乗り物の背景には何も映っていないのだ。私の借りた代車のバックミラーには何も映っていなかった。

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