はじめて村上春樹を読んだのは極めて不純な動機からだった。

好かれたいと思ったからだ。正直言えば村上龍と区別できていなかった。最初に読んだのは「ノルウェイの森」ではなかった。手にした本が短編集だったのはたまたま図書室にあったからだったし、たくさんの話が読めると思ったからだ。その後、手に入るすべての作品を読むことになるのは、最初に彼の短編から入ったからなのだと思う。今でも、何度読み返しても、彼の短編はすばらしい。吉本隆明が「世界の終わりと・・・」を評して、かの内容を表現するのにこれだけ長い小説にする必要があるのか・・と書いたことに、ひそかににんまりしてしまったことを思い出した。私はいまだに村上春樹よりも吉本隆明の方が好きなのだ。もちろんどちらも好きだけれども、なくなってしまった人に勝つことはできないのだ。村上春樹は好きだけれども、すべてが最高であるなどとは思っていない。村上春樹が書いてもおもしろくないものはおもしろくない。もちろん私にとって・・・ということだし、今の私にとってということではあるのだけれど。

とても天気のよい文化の日。気温もあまり上がらなかった。こんな快晴の祝日、ストーブの掃除をして火をいれて。村上春樹をではなく、S・キングの昔々の短編集を読んでいた。食事をせずにオヤツだけを食べているから太るのである。